2011年5月21日土曜日

ルベーグ積分論のお勉強

 柴田良弘氏著の「ルベーグ積分論」を使ってルベーグ積分の勉強をしています。
この本の第1章でリーマン積分の復習を足早に行っていますが、リーマン可積分の必要十分条件を述べる段階で通常の微積分の本には載っているであろうDarbouxの定理が独立した定理として扱われていません。この本の定理1.6.3は

(1) 関数 $f(x)$ は区間 $[a, b]$ 上でリーマン可積分である。

(2) $\displaystyle \sup_{\mathit{\Delta}}\, s_{\mathit{\Delta}} =\inf_{\mathit{\Delta}} \, S_{\mathit{\Delta}}$

(3)任意の $\epsilon >0$ に対して $S_{\mathit{\Delta}} -s_{\mathit{\Delta}} < \epsilon$ を満足する $[a, b]$ の分割 $\mathit{\Delta}$ が存在する。


という3条件が同値であることを述べた定理ですが、(3)から(1)を証明する部分が間違っていると思われます。ここがDarbouxの定理に相当する内容なのですが、この本の証明では、(3)の条件を使って $S_{\mathit{\Delta}_1} - s_{\mathit{\Delta}_1} <\epsilon$ を満たす分割 $\mathit{\Delta}_1$ を固定した後、(1)を証明するために必要な正数 $\delta$ を定義してあるのに、いつの間にか分割 $\mathit{\Delta}_1$ の幅 $\lvert \mathit{\Delta}_{1} \rvert =\max\limits_i \lvert x_i -x_{i-1}\rvert$ が $\delta$ よりも小さいということを使って議論を進めてしまっています。(3)の条件は分割の存在について言及しているだけで、分割の幅の大きさについては何ら言及していないので、この証明は使えないと思われます。そういう訳で、通常通りDarbouxの定理を用いて(2)から(1)を証明するほうがよいのではないでしょうか。
 また区間とリーマン積分の値に同じ記号 $I$ を使っているのも気にかかります。