2011年5月21日土曜日

MathJaxで数式を表示(ブラウザがIEの方は要注意)

MathJaxを使えば、LaTeX のコマンドで数式を記述すると、その HTML ファイルをブラウザで見たときに LaTeX のコマンドで書かれた部分が自動的にきれいな数式に置き換わるのだそうです。そこで黒木玄さんのMathJaXの使い方 を参考に導入してみました。

ブログのサーバにMathJaXがインストールされていなくても、MathJaXのサーバを介して数式を変換してくれるサービスがあるそうで、それを利用している模様です。ブラウザはFirefoxやGoogle Chromeならば問題ないそうです。FirefoxはChromeに比べて表示速度が少し遅いように感じます。

ブラウザにIEを使っていると表示に異常に時間がかかるそうなのでご注意ください。

テストを兼ねて、しょうもない命題の証明を一つ載せておきます。
伊藤清三氏の「ルベーグ積分入門」P.14, 15の$\mathfrak{I}_N$-集合関数 $\mu$ がwell-definedであることの証明で$E\in \mathfrak{I}_N$ を細分割するところの論法と、p.57 の補助定理1で同じく$K\in \mathfrak{F}$ を細分割して
\begin{equation}
\begin{cases}
K=(E_1\times F_1)+\dotsb +(E_n \times F_n), \\
j\neq k \,\text{ ならば }\, E_j\cap E_k =\emptyset
\end{cases}
\end{equation} となるように取れるということの証明に使われている論法が、以前から直感的過ぎると感じていて釈然としていなかったのですが、ここに示す命題の結果を使えば多少明解になるのではないかと思います。同じところで気持ちの悪さを感じていた人がいるかもしれないので載せておきます。


$X$ を一般の集合とする.$X$ の部分集合 $E$ に対して次の記号を導入する.即ち,$E^1 =E$, $E^{-1}=E^c$と定義し,$E^\alpha$ で $\alpha=1, -1$ に対してそれぞれ $E$, $E^c$ を表すものとする.また,有限個の $X$ の部分集合 $E_1, \dots , E_N$ に対して多重指数 $\alpha:=(\alpha_1, \alpha_2, \dots , \alpha_N)$ $(\alpha_k=\pm1;\ k=1,\dots, N)$ を定義し,$\alpha$ が $N$ 成分から成るときには $|\alpha|=N$ と表す.この多重指数 $\alpha$ を用いて $X$ の部分集合 $E^\alpha$ を
\begin{equation}
E^\alpha :=E^{\alpha_1}_1 \cap E^{\alpha_2}_2 \cap \dotsb \cap E^{\alpha_N}_N
\end{equation} の形をした集合として定義する.例えば,$|\alpha|=3$, $\alpha=(\alpha_1, \alpha_2, \alpha_3)=(1, 1, -1)$ の場合には $E^\alpha=E_1^1 \cap E_2^1 \cap E^{-1}_3 = E_1\cap E_2\cap E_3^c$ を表す.また多重指数の全ての成分が $-1$ であるとき,$\alpha=-1$ と定義する.つまり $(-1,-1, \dots, -1):=-1$ と表記する.すると $\alpha =-1$ の場合は $E^{-1}=E_1^c \cap E^c_2\cap \dots \cap E^c_N
=\big(\bigcup_{i=1}^N E_i\big)^c$ なる集合を表す.

さらに, $\alpha=(\alpha_1, \dots , \alpha_N), \beta=(\beta_1 ,\dots , \beta_M)$ を2つの多重指数とするとき,$\alpha=\beta$ はその全ての成分が等しいことと定義する.即ち,$\alpha =\beta$ ならば,$|\alpha|=N=M=|\beta|$ であり,$\alpha_k =\beta_k$ $(k=1,\dots, N)$ が成り立つとする.これは,$\alpha\neq \beta$ ならば $|\alpha|\neq |\beta|$ であるか,もしくは $\alpha_k \neq \beta_k$ なる $k$ が少なくとも1つ存在することを意味する.

このとき次の命題が成り立つ.

命題   $X$ を集合とし,$E_1, \dots , E_N$ を $X$ の部分集合とする.
$E^\alpha =E^{\alpha_1}_1 \cap E^{\alpha_2}_2 \cap \dotsb \cap E^{\alpha_N}_N$ の形をした集合は,2つの多重指数 $\alpha, \beta$ $(|\alpha|=|\beta|=N)$ に対して,$\alpha \neq \beta$ ならば $E^\alpha\cap E^\beta=\emptyset$ であり,
\begin{equation}
{\textstyle\bigcup\limits_{\substack{\alpha\neq -1\\ |\alpha|=N}}}E^\alpha
={\textstyle\bigcup\limits_{i=1}^N}E_i
\end{equation} が成り立つ.但し左辺は $\alpha\neq -1$ かつ $|\alpha|=N$ であるような多重指数 $\alpha$ 全体に関しての和集合である.

証明   $N$ に関する帰納法で証明する.まず $N=2$ とする.このとき件の集合は
\begin{equation}
E^{(1, 1)}=E_1\cap E_2, \quad E^{(1, -1)}=E_1\cap E^c_2, \quad
E^{(-1, 1)}=E_1^c \cap E_2
\end{equation} の3種類である.このとき,$\alpha\neq \beta$ ならば明らかに $E^\alpha\cap E^\beta=\emptyset$ が成り立っている.さらに $A\cap(B\cup C)=(A\cap B)\cup (A\cap C)$ などから,
\begin{align}
& E^{(1, 1)}\cup E^{(1, -1)}\cup E^{(-1, 1)}\\
&= (E_1\cap E_2)\cup(E_1\cap E^c_2)\cup (E_1^c \cap E_2)\\
&=[E_1\cap(E_2\cup E_2^c)]\cup(E_1^c \cap E_2)
=E_1 \cup(E_1^c \cap E_2)\\
&=(E_1\cup E_1^c)\cap (E_1 \cup E_2)\\
&=E_1\cup E_2
\end{align} となり,命題が成り立つ.

次に $N$ の場合に命題が成り立つと仮定し,$N+1$ の場合を証明する.$E_1,\dots , E_{N+1}$ を $X$ の部分集合とする.$\alpha^\prime, \beta^\prime$ は $|\alpha^\prime|=|\beta^\prime|=N+1$ なる多重指数とし,$E^{\alpha^\prime}$ は
\begin{equation}
E^{\alpha^\prime}=E_1^{\alpha^\prime_1}\cap E_2^{\alpha^\prime_2}\cap
\dotsb \cap E_{N+1}^{\alpha^\prime_{N+1}}
\end{equation} なる形の集合とする.まず $\alpha^\prime \neq \beta^\prime$ ならば,$\alpha^\prime_k \neq \beta^\prime_k$ なる $k$ ($k=1,\dots, N+1$) が少なくとも1つ存在し,$\alpha_k^\prime$, $\beta^\prime_k$ は互いに逆符号の値を取るため
$E_k^{\alpha^\prime_k}\cap E_k^{\beta^\prime_k}
=E_k\cap E_k^c =\emptyset$ である.従って
\begin{align}
& E^{\alpha^\prime}\cap E^{\beta^\prime}\\
&=E_1^{\alpha^\prime_1}\cap \dotsb \cap E^{\alpha^\prime_k}_k\cap
\dotsb \cap E_{N+1}^{\alpha^\prime_{N+1}}
\cap E_1^{\beta^\prime_1}\cap \dotsb \cap E^{\beta^\prime_k}_k\cap
\dotsb \cap E_{N+1}^{\beta^\prime_{N+1}}\\
&=\emptyset
\end{align} となる.また,$\alpha^\prime \neq -1$ なる多重指数 $\alpha^\prime$ に対し $E^{\alpha^\prime}$ は
\begin{equation}
E^{\alpha^\prime}=
\begin{cases}
E^\alpha \cap E_{N+1} &(|\alpha|=N,\ \alpha\neq -1)\\
E^\alpha \cap E^c_{N+1}&(|\alpha|=N,\ \alpha\neq -1)\\
\bigg({\textstyle\bigcup\limits_{i=1}^N} E_i\bigg)^{\!\!c} \cap E_{N+1}
\end{cases}
\end{equation} のいずれかの形に表せる.従って,帰納法の仮定より
\begin{align}
{\textstyle\bigcup\limits_{\substack{\alpha^\prime\neq -1\\
|\alpha^\prime|=N+1}}}E^{\alpha^\prime}
&= \Bigg({\textstyle\bigcup\limits_{\substack{\alpha\neq -1\\ |\alpha|=N}}}
(E^\alpha\cap E_{N+1})\cup(E^\alpha\cap E_{N+1}^c)\Bigg)
\cup \bigg[\bigg({\textstyle\bigcup\limits_{i=1}^N} E_i\bigg)^{\!\!c} \cap E_{N+1}\bigg]\\
&=\Bigg({\textstyle\bigcup\limits_{\substack{\alpha\neq -1\\ |\alpha|=N}}}
E^\alpha\cap (E_{N+1}\cup E_{N+1}^c)\Bigg)
\cup \bigg[\bigg({\textstyle\bigcup\limits_{i=1}^N} E_i\bigg)^{\!\!c}
\cap E_{N+1}\bigg]\\
&=\Bigg({\textstyle\bigcup\limits_{\substack{\alpha\neq -1\\ |\alpha|=N}}}
E^\alpha\Bigg)
\cup \bigg[\bigg({\textstyle\bigcup\limits_{i=1}^N} E_i\bigg)^{\!\!c}
\cap E_{N+1}\bigg]\\
&=\bigg({\textstyle\bigcup\limits_{i=1}^N}E_i\bigg)
\cup \bigg[\bigg({\textstyle\bigcup\limits_{i=1}^N} E_i\bigg)^{\!\!c}
\cap E_{N+1}\bigg]\\
&=\bigg[\bigg({\textstyle\bigcup\limits_{i=1}^N}E_i\bigg)\cup
\bigg({\textstyle\bigcup\limits_{i=1}^N} E_i\bigg)^{\!\!c} \bigg]
\cap\bigg[
\bigg({\textstyle\bigcup\limits_{i=1}^N} E_i\bigg)\cap E_{N+1}\bigg]\\
&=
\bigg({\textstyle\bigcup\limits_{i=1}^N} E_i\bigg)\cap E_{N+1}
={\textstyle\bigcup\limits_{i=1}^{N+1}} E_i
\end{align} となり,$N+1$ の場合にも命題を満たす.以上で任意の自然数 $N$ に対して命題が成り立つことが示された.$\square$


数式上で右クリックすると、LaTeXソースを表示出来るので、数式のコピー&ペーストが容易に行えるのも特徴のようです。醜いソースを書かないように心がける必要も出てきそうです。