2021年12月20日月曜日

LaTeXで宛名ラベルシールの差し込み印刷をする

この記事は TeX & LaTeX Advent Calendar 2021 の20日目の記事です。

19日目は hid_alma1026 さん、21日目は 7danmoroboshi さんです。

 

はじめに

業務でラベルシール用宛名ラベルの作成にラベル屋さんというソフトを利用しています。しかし公式サイトの使い方を見る限り、連名の有り無しなどの条件分岐に対応したラベル作りに対応できなさそうです。そこでLaTeXのtikzとtcolorbox, datatool, intcalcパッケージなどを利用して宛名ラベルの差し込み印刷に挑戦してみました。

TeXエンジンは、フォントの変更がしやすいという噂のLuaTeX-jaを利用することにしました。

datatoolはデータセットからdata plotや表作成などが行えるLaTeXパッケージです。日本語では

で使い方を見ることができます。csvなどの外部データを利用することもできて、今回は作成したcsvファイルを読み込み、定型フォーマットに文字列を流し込むのに利用しました。


準備

まずは宛名ラベルの差し込み印刷に利用するcsvファイルを用意します。今回は

を利用して、次の画像ようなcsvファイル(personal_information.csv)を作成しました。


csvファイルのヘッダ部分は取り除いています。ヘッダ部分がある場合もdatatoolの記述を変えれば利用できるようです。各列の意味は次の通りです。括弧内はdatatoolで扱う際のkeyを表しています。
  1. 名前(Name)
  2. 郵便番号(PostalCode)
  3. 住所1(Address)
  4. 住所2(address)
  5. ご家族様表記の有無(ToFamily)
  6. 連名1(Family)
  7. 連名2(family)

出力結果

上のcsvファイルを元に作成した宛名ラベルのpdfファイルの画像を載せておきます。あくまでも画像の住所・氏名はダミーで実在しません。


1枚目の画像は印刷後に余ったラベルシールの再利用を想定して、ラベル開始位置を指定できるようにし、開始位置をずらしたものです。画像では4番目のラベル位置から宛名を配置しています。その他に連名を入れたいもの、ご家族様表記を入れたいものなどを判別してラベルが作成されるようにしています。画像では枠があるように見えますが、印刷には出てきません。

コードの紹介

上記画像の宛名ラベルを作成するためのLaTeXファイルの内容を紹介します。
ここではラベルを印刷するシールはA-Oneの75312番を想定しています。シート1枚に対して12面のラベルがあり、その寸法に合わせてnewlengthを定義しています。タイプセットは2回必要です。
\documentclass[lualatex,a4paper,ja=standard]{bxjsbook}

\usepackage[haranoaji]{luatexja-preset}
\usepackage[T1]{fontenc} %入力ファイル中でアクセント記号付きの欧文を扱う
\usepackage{lmodern}% Latin Modern フォントを使う

\usepackage{etoolbox}

\usepackage[math=pgfmath,utf8=true]{datatool}
\usepackage[utf8]{inputenc}
\usepackage{intcalc} %modの計算に使用

\usepackage{xparse}
\usepackage{tikz}
\usetikzlibrary{calc,math}
\usepackage{tcolorbox}


%新しい長さのコマンドを設定
\newlength{\myleftmargin}
\newlength{\myrightmargin}
\newlength{\mytopmargin}
\newlength{\mylabelwidth}
\newlength{\mylabelheight}
\newlength{\mymidspace}

\setlength{\myleftmargin}{19.3mm}
\setlength{\myrightmargin}{19.3mm}
\setlength{\mytopmargin}{21.5mm}
\setlength{\mylabelwidth}{83.8mm}
\setlength{\mylabelheight}{42.3mm}
\setlength{\mymidspace}{3.8mm}

%ページ番号を表示させない
\pagestyle{empty}

%yatex用の記述
%#! lualatex label.tex


%tikzpicture環境の定義
\tikzset{every picture/.style={%
remember picture, overlay,
execute at begin picture=%picture環境の最初に行う処理
{%tikzのmath libraryを使って,各labelの左上の端点位置を計算しておく.
\coordinate (P) at (current page.north west); %紙面左上の端点の座標
\tikzmath{%各ページにlabelが12枚なので12個の点の座標を配列として定義.
int \i,\j;
coordinate \p;
\p0 = (P)+(\myleftmargin, -\mytopmargin);%配列の番号は0から11まで.
\p1 = (\p0)+(\mylabelwidth + \mymidspace, 0);
 for \i in {0, 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9}{
 \j =\i+2;
 \p\j = (\p\i) + (0, -\mylabelheight);
 };%tikzmathの終わり
 }}}
}


%新しいtcolorbox環境の定義
\newtcolorbox[blend into=tables]{addresslabel}{%blend into=tablesで,tcolorbox環境内でtabular環境を使えるようにする.
colback=white,%box内の背景色
%colframe=white,%box枠の色
width =\mylabelwidth,%boxの幅
height=\mylabelheight,%boxの高さ
lower separated=false,%upperとlowerの境界線を消す
middle = 0pt,%境界線と文章の距離
space to lower,%box内の高さの空きスペースをすべてlowerに渡す
boxrule=0mm,%枠線の幅
valign lower=center,%lower部分の垂直方向の位置揃え
valign upper=top,%upper部分の垂直方向の位置揃え
halign lower=center,%lower部分の水平方向の位置揃え
halign upper=flush left,%upper部分の水平方向の位置揃え
fontlower=\sffamily\bfseries,%lower部分のフォント変更
}

%xparseを使ったコマンドの定義
\NewDocumentCommand\AddressLabel{m m m m m m o o}{
%#1:ラベル位置, #2:ご家族様表記の有無, #3:氏名, #4:郵便番号, #5:住所1, #6:住所2, #7:連名1, #8:連名2
\begin{tikzpicture}[every picture]
\node[inner sep=0pt,anchor=north west] at (\p{#1}){%ラベルを置く位置(ラベル左上端点の座標)
\begin{addresslabel}
%upperpart
\fontsize{10pt}{12pt}\selectfont%
〒{#4}
\par
\hspace{1\zw}{#5}
\par
\hspace{1\zw}{#6}
\tcblower
%lowerpart
\fontsize{15pt}{1.58\zh}\selectfont%
\begin{tabular}{r}%
{#3}~様
\IfNoValueTF{#7}{}{\\ {#7}~様}
\IfNoValueTF{#8}{}{\\ {#8}~様}
\ifnumequal{#2}{1}{\\ {ご家族}~様}{}
\end{tabular}
\end{addresslabel}
};%nodeの終わり
\end{tikzpicture}
}


\newcounter{posnum}%ラベルの位置を表すカウンターの定義
\newcounter{initposnum}%最初のラベル位置を表すカウンター
\newcounter{linenum}%アドレスデータの行番号
\setcounter{initposnum}{3}%最初のラベル位置(0,1,...,11で指定)
\begin{document}

%datatoolパッケージでcsvファイルを読み込む
%personal_information.csvはヘッダー無しで,第1列から順にName, PostalCode, etc.を表す.dataという名前にする.
%Name=代表者名, PostalCode=郵便番号, Address=住所1, address=住所2, ToFamily=ご家族様表記の有無, Family=連名1, family=連名2
\DTLloaddb[noheader,keys={Name,PostalCode,Address,address,ToFamily,Family,family}]{data}{personal_information.csv}

%上で読み込んだdataの各行に対して処理を行う.
\begin{DTLenvforeach}{data}{\Name=Name, \PostalCode=PostalCode, \Address=Address, \address=address, \ToFamily=ToFamily, \Family=Family, \family=family}
%\DTLcurrentindexがデータ行番号を表す.1ページあたりのラベル数が12なので,ラベル位置はこれを12で割った余りとして計算.
\setcounter{linenum}{\intcalcAdd{\DTLcurrentindex}{\theinitposnum -1}}
\setcounter{posnum}{\intcalcMod{\thelinenum}{12}}
%データ行番号が12を超えていたら,12の倍数ごとに改ページをする.
\ifnum\thelinenum>11\ifnum\theposnum = 0 \newpage\fi\fi 
\DTLifstringeq{\Family}{}{%連名の有無で条件分岐
 \AddressLabel{\theposnum}{\ToFamily}{\Name}{\PostalCode}{\Address}{\address}%
 }{%
 \DTLifstringeq{\family}{}{%
 \AddressLabel{\theposnum}{\ToFamily}{\Name}{\PostalCode}{\Address}{\address}[\Family]%
 }{%
 \AddressLabel{\theposnum}{\ToFamily}{\Name}{\PostalCode}{\Address}{\address}[\Family][\family]%
 }}
\end{DTLenvforeach}
\end{document}
ループ処理があるため実行速度は遅めです。tcolorboxの設定でcolframe=whiteとすれば、上の画像にあったboxの枠も消えます。

intcalcパッケージは、剰余計算で利用しています.\intcalcAdd, \intcalcModはこのパッケージで定義されています。

xparseパッケージとtcolorboxパッケージを利用してAddressLabelというコマンドを作りそれをdatatoolパッケージで定義されるDTLenvforeach環境内でループ処理させています。最初は、AddressLabelコマンドのオプションの引数のところを必須引数にして、引数が空文字であれば空文字を入れるようにetoolboxのifstremptyコマンドで記述しようとしたのですが、Familyやfamilyキーが空文字でもDTLenvforeach環境内での\Familyなどのコマンドは空文字と判断されなかったため、これらをオプション引数にして条件分岐で対応しました。トークンの展開順序などが関係しているのでしょうか。

最後に

今回作成したラベルはシンプルなものですが、tikzを使って色々装飾できそうです。
しかし作ってはみたものの、事務の方にLaTeXを使わせるわけにもいかないので実際には使わないかな。

2021年12月11日土曜日

OpenCv-PythonとpdfLaTeXで自炊pdfファイルの位置調整

この記事は TeX & LaTeX Advent Calendar 2021 の11日目の記事です.

10日目は t_kemmochi さん,12日目は yukishita さんです.

 

動機 

書籍の自炊にブックエッジスキャナーのAvisionのFB2280Eを利用しています。書籍を裁断せずに1ページずつスキャンを行うため、本の開き具合などの要因で本の序盤、中盤、終盤で得られるスキャン画像の位置ずれが大きくなります。以前からpdfLaTeXを利用して位置調整をしていたのですが、OpenCvを利用して自動化できそうだったので試してみました。


やること

本記事では、pdf化した文書画像の版面(文字の印刷された部分の意味で使います)を半自動的に計算してpdfの画像の位置調整をするために、OpenCvとpdfLaTeXを利用する方法を解説します。手順としては

  1. Pythonの画像認識用ライブラリであるOpenCvを利用して版面を計算する。
  2. テンプレートエンジンライブラリのJinja2を使って画像のバウンディングボックスなどを記述したLaTeXファイルを作成する。
  3. pdfLaTeXでpdfを読み込み、位置の調整されたpdfを作成する。
という流れになっています。作業環境としては、Visual Studio CodeをRemove - WSL拡張機能と併用しています。PythonやそのライブラリはWSL上のUbuntuにインストールし、他にもpdfファイルを他のファイル形式にするためにpoppler-utilsなんかもインストールしました。


参考記事

OpenCvを利用した文書画像のレイアウト解析については
を参考にしました。

pdfLaTeXがpdf加工に使えるという話と、pdfpagesパッケージの存在は
で知ったように思います。


画像pdfをpdfpagesで取り込む

まず、元になるpdfを用意します.スキャン後は影になっている部分をbrissなどのソフトを使って切り落とし、傾き補正などの処理はしてあるものとします。これをpdfpagesというLaTeXのパッケージを用いてpdfLaTeXで単純に取り込んだものが次の画像です。


上記画像ではpdfを取り込む際にeso-picパッケージを利用してグリッドラインを表示しています。グリッドラインの表示のさせかたについては

黒い枠が取り込んだ画像の大きさを表す枠です。pdfpagesでincludepdfコマンドを使って画像pdfを1ページずつ取り込むと,各画像が中央に配置されます。スキャン時のブレによって画像の上下左右の空きが少しずつ異なっているのが分かるかと思います。画像中の文字が書かれた部分を囲む枠を認識させて,書籍を実測するなどして決めた青色の線の中に収めるのが目標です。


画像認識のための下準備

OpenCvで画像認識を行うために、用意したpdfファイルを画像ファイルに変換しておきます。poppler-utilsに含まれているpdftoppmを使ってターミナルから
pdftoppm -png -r 300 filename.pdf filename
とし、pdfファイルを300dpiのpngファイルとして書き出しておきます。pdftoppmコマンドはtexliveにも含まれています。


OpenCv-Pythonによる版面の検出

次のPythonスクリプトをbbox_calc.pyという名前で保存し、このスクリプトを使って、上で書き出したpngファイルを処理します。
import os
import cv2
import numpy as np

#画像の閾値処理
def img_binalizer(docname, page, bool):
    imgpath = "images/" + str(docname) + "/" + str(docname) + "-" + str(page).zfill(3) +".png"
    if bool == True: #LaTeXファイル出力用
        img = cv2.imread(imgpath, cv2.IMREAD_GRAYSCALE) #画像は2値化済みなので最初から2値で読み込む
        imgGray = img
          
    elif bool == False: #確認用の画像作成
        img = cv2.imread(imgpath, cv2.IMREAD_COLOR) #カラー画像として読み込む
        imgGray = cv2.cvtColor(img, cv2.COLOR_BGR2GRAY) #グレースケール画像へ変換
    else:
        pass

    imgBlur = cv2.medianBlur(imgGray, 5) #medianblurの方がゴミが消えやすそう
    # imgBlur = cv2.GaussianBlur(imgMedBlur, (5, 5), 0)

    #ゴミが多い場合
    # kernel = np.ones((5, 5), np.int8)
    # temp_img = cv2.morphologyEx(imgGray,cv2.MORPH_OPEN,kernel,iterations=3)
    # imgBlur = cv2.medianBlur(temp_img, 7)
        
    #画像の閾値処理 cv2.thresholdの2つ目の出力が閾値処理された後の2値画像
    _ , thresh = cv2.threshold(imgBlur,0,255,cv2.THRESH_BINARY_INV+cv2.THRESH_OTSU)
    return img, thresh

#輪郭の外接矩形の情報から端点の座標を計算
def contour_corner(contour):
    #各contourの外接矩形の左上の座標(x,y)と幅w,高さhを取得
    x, y, w, h = cv2.boundingRect(contour)
    #contourの左上と右下の点の座標を配列に格納
    bdcorner = np.array([[x, y], [x+w, y+h]], dtype=np.int16)
    return bdcorner

#画像のオブジェクト(文字)の輪郭を検出して,各輪郭の左上と右下端点の座標を格納した配列を作成(左上が原点)
def calc_contour_corners(thresh):
    #輪郭線が図形に被りすぎないようにするために画像中の図形を膨張させる
    kernel = np.ones((8, 4), np.int8) 
    dilate_img = cv2.dilate(thresh, kernel, iterations=1)
    
    #funcContoursで図形の輪郭を検出する.
    #RETER_EXTERNALは階層的な輪郭の最外層だけを返す
    #CHAIN_APPROX_SIMPLEは矩形状の輪郭の四隅だけを検出する
    contours, _ = cv2.findContours(dilate_img.copy(), cv2.RETR_EXTERNAL, cv2.CHAIN_APPROX_SIMPLE)
    
    if len(contours) == 0:
        #contourが検出されない場合(白紙ページなど)の例外処理.適当な数値の座標を与えておく.
        bdcorners = np.array([[[0, 0], [5, 5]]]) 
    else:
        #各countourに対して左上と右下の2端点の座標を格納した配列を作る
        bdcorners = np.array([ contour_corner(cnt) for cnt in contours], dtype=np.int16)
    return bdcorners


#各countourの端点の座標から版面の端点の座標を計算する.(左上が原点)
def calc_bbox_corners(bdcorners): 
    ul_point = bdcorners[:,0].min(axis=0) #contourの左上の点の両座標の最小値を計算し,その値を座標とする点を与える.
    lr_point = bdcorners[:,1].max(axis=0) #contourの右下の点の両座標の最大値を計算し,その値を座標とする点を与える.
    return ul_point, lr_point

#各contourを囲む矩形を描画する
def draw_contour_borders(bdcorners, output):
    for cnt in np.arange(len(bdcorners)):
        cv2.rectangle(output, tuple(bdcorners[cnt,0]), tuple(bdcorners[cnt,1]), (0, 255, 0), 2) #各contourに対して矩形を描く

    bbox_corners = calc_bbox_corners(bdcorners)
    ul_point = bbox_corners[0]
    lr_point = bbox_corners[1]
    cv2.rectangle(output, tuple(ul_point), tuple(lr_point), (255, 255, 0), 2) #版面を囲む矩形を描く
    return output



if __name__ == "__main__": #以下は他ファイルから読み込んだときには実行されない.
    import time
    import os
    import fitz #pymupdfを使う

    docname = "filename"
    out_dir = "output/" + str(docname)

    if not os.path.exists(out_dir):
        os.makedirs(out_dir)

    #pdfファイルのページ数を取得する.
    pdfpath = "images/" + str(docname) + "/" + str(docname) + ".pdf"
    pdfpages = fitz.open(str(pdfpath)).pageCount

    #処理を行うページ番号
    ini = 1
    fin = pdfpages + 1

    for p in range(ini, fin):
        #画像の閾値処理(2つ目の出力が閾値処理された2値画像)
        img, th = img_binalizer(docname, p, False)

        #コンソールへ出力
        print(p)
        print(img.shape)

        output_img = img.copy()
                
        s=time.time()
        bdcorner = calc_contour_corners(th) #2値画像中の図形を検出して外接矩形の端点を収めた行列
        output_borders = draw_contour_borders(bdcorner, output_img) #画像imgに外接矩形を描画
        t=time.time()-s
        print(t)
              
        #ボーダーを書き入れた画像を書き出す
        cv2.imwrite(str(out_dir) + "/output-%03d.jpg" %p, output_borders)
これを使って先程のpngファイルを処理すると次の画像のようなjpgファイルが得られます。

緑色の枠はOpenCvのfindContourで検出した文字または単語の外接矩形で、この矩形の端点の座標を元に文字が描かれている領域の端点を計算して描いたのが青色の枠です。この青色の枠を元に画像の位置をどれだけずらして取り込むかを計算していきます。

スクリプトbbox_calc.pyで得られた画像をチェックして、版面が上手く捉えられているようであれば次の工程に進みます。


画像pdfの位置補正量の計算

今度はbbox_calc.py内で定義した関数を元に、各画像の版面を囲む矩形の対角線上にある端点の座標を計算し、そこから画像をどのくらい移動させるかを計算させて、その結果をJinja2を用いてLaTeXファイルとして書き出します。次のスクリプトは、処理するpdfファイル名がfilename.pdfであったときはfilename.pyとして保存します。
import os
import sys
# 1つ上のフォルダをモジュールの検索リストに含める
sys.path.append(os.path.join(os.path.dirname(__file__), '..'))

#opencv
import cv2

#numpy
import numpy as np
import time

#pymupdf(pdfページ番号を取得するのに使う)
import fitz 

#散布図を描くのに使う
import matplotlib.pyplot as plt

#自作関数の読み込み
import bbox_calc as bbc

#jinja2(テンプレートファイルからpdfを取り込むlatexファイルを作成)
import jinja2
latex_jinja_env = jinja2.Environment(
	block_start_string = '\BLOCK{',
	block_end_string = '}',
	variable_start_string = '\VAR{',
	variable_end_string = '}',
	comment_start_string = '\#{',
	comment_end_string = '}',
	line_statement_prefix = '%%',
	line_comment_prefix = '%#',
	trim_blocks = True,
	autoescape = False,
	loader = jinja2.FileSystemLoader(os.path.abspath('.'))
)
template = latex_jinja_env.get_template('jinja_template.tex')

#スクリプト名と同じ名前のpdfファイルからページ数を取得する
basename = os.path.basename(__file__) #スクリプトファイル名を取得
docname = os.path.splitext(basename)[0] #スクリプトファイルから拡張子を除いた名前を取得
pdfpath = "images/" + str(docname) + "/" + str(docname) + ".pdf"
pdfpages = fitz.open(str(pdfpath)).pageCount#pdfのページ数を取得(要fitz)

#物理的な紙面のサイズを設定
# B5 : 182mm×257mm
# A5 : 148mmx210mm
# B6 : 128mmx182mm
phorizontal = 150 #紙面のhorizontal size (mm)
pvertical = 220 #紙面のvertical size (mm)
tmargin = 17 #top margin (mm)
tmargin2 = 38 #top margin2 (mm)
tmargin3 = 52.5 #top margin3 (mm)
bmargin = 18 #bottom margin (mm)
rmargin = 14.5 #right margin (mm)
lmargin = 14.5  #left margin (mm)
center = "{:.2f}".format(phorizontal / 2) #紙面の中心

#pdfファイルの開始ページと終了ページ
ini = 1 #開始ページ
fin = pdfpages + 1 #終了ページ + 1
scale = 1.0 #拡大倍率
angle = 0 #回転角度


#単位の換算(dpiとpixelの値からmmに換算する)
def px2mm(pix, dpi):
    mm = pix * (25.4 / dpi)
    return mm

#画像ファイルの版面のboundingboxを計算
def bbox(thresh, pagenum, xdpi, ydpi):
        img_height, img_width = thresh.shape
                
        #bbox_calcの計算では左上が原点であることに注意する
        bdcorners = bbc.calc_contour_corners(thresh)
        bbox_corners = bbc.calc_bbox_corners(bdcorners)
        xmin, ymin = bbox_corners[0] #版面左上の点の座標
        xmax, ymax = bbox_corners[1] #版面右下の点の座標

        # boundingbox用の座標を計算する.今度は左下が原点.単位はmmにする
        # ll = lower left, ur = upper right を表す
        llx = px2mm(xmin, xdpi) #版面左下点のx座標
        lly = px2mm(img_height - ymax, ydpi) #版面左下点のy座標
        urx = px2mm(xmax, xdpi) #版面右上点のx座標
        ury = px2mm(img_height - ymin, ydpi) #版面右上点のy座標
        xtext = px2mm(xmax - xmin, xdpi) #版面幅
        ytext = px2mm(ymax - ymin, ydpi) #版面高さ
        img_tmargin = px2mm(ymin, ydpi) #画像ファイルにおける上部マージン

        #pdfpagesでは画像が中央に配置される.そのときのマージンを計算(単位はmm)
        init_hmargin = 0.5 * (phorizontal - (xtext * scale) )
        init_vmargin = 0.5 * (pvertical - (ytext * scale) )
                
        #includeする画像におけるマージン(単位はpixel)
        tmargin_px = ymin # top
        bmargin_px = img_height - ymax #bottom
        lmargin_px = xmin #left
        rmargin_px = img_width - xmax #right
        
        #調整用のマージン比率を計算
        tbmargin_ratio = tmargin_px / bmargin_px
        img_tmargin_ratio = tmargin_px / img_height
        sidemargin_ratio = (lmargin_px + rmargin_px) / img_width
        lmargin_ratio = lmargin_px / img_width

        #pdfpagesの初期配置から移動させる距離の計算(水平方向)
        if (sidemargin_ratio > 0.25) and (lmargin_ratio > 0.10) : #左右の空きが大きいときには動かさない
            xshift = 0
        elif pagenum % 2 == 0: #ページ番号の偶奇でどちらに寄せるかを決める
        # else:
            xshift = lmargin - init_hmargin  #左寄せ
        elif sidemargin_ratio < 0.03:
            xshift = lmargin - init_hmargin  #左寄せ
        else:
            xshift = init_hmargin - rmargin #右寄せ 
            
        #上部マージンを切り替える閾値(散布図を参考に)
        tm_ratio_thresh1 = 0.1
        tm_ratio_thresh2 = 0.2

        #pdfpagesの初期配置から移動させる距離の計算(垂直方向)
        if (sidemargin_ratio > 0.25) and (lmargin_ratio > 0.10): #左右の空きが大きいときは動かさない
            yshift = 0
        elif img_tmargin_ratio > tm_ratio_thresh2 : #上の空きが大きければ下に詰める
            yshift = -tmargin3 + init_vmargin
        elif (img_tmargin_ratio < tm_ratio_thresh2 ) and (img_tmargin_ratio > tm_ratio_thresh1):
            yshift = -tmargin2 + init_vmargin
        # elif img_tmargin_ratio < 0.005:
            # yshift = 0
        else:
            yshift = -tmargin + init_vmargin
            # yshift = bmargin - init_vmargin

        #少数第3位以下を切り捨てる    
        llx_2f = "{:.2f}".format(llx)
        lly_2f = "{:.2f}".format(lly)
        urx_2f = "{:.2f}".format(urx)
        ury_2f = "{:.2f}".format(ury)
        xshift_2f = "{:.2f}".format(xshift)
        yshift_2f = "{:.2f}".format(yshift)
        tbmargin_ratio_2f = "{:.3f}".format(tbmargin_ratio)
        img_tmargin_ratio_2f = "{:.3f}".format(img_tmargin_ratio)
        sidemargin_ratio_2f = "{:.2f}".format(sidemargin_ratio)
        lmargin_ratio_2f = "{:.2f}".format(lmargin_ratio)
        xtext_2f = "{:.2f}".format(xtext)
        ytext_2f = "{:.2f}".format(ytext)

        return llx_2f, lly_2f, urx_2f, ury_2f, xshift_2f, yshift_2f, tbmargin_ratio_2f, img_tmargin_ratio_2f, sidemargin_ratio_2f, lmargin_ratio_2f, xtext_2f, ytext_2f


#jinjaで生成するtexファイルに挿入する文字列の初期化
string = ""

#既存のlogファイルの削除
logname = "log.txt"
if os.path.isfile(logname):
    os.remove(logname)

#上部マージンと画像縦サイズの比率を収めた配列(散布図に使う)
margin_ratios = np.empty(shape=pdfpages,dtype=np.float16)

init_time = time.time()
#主要部分
for p in range(ini, fin):
    s=time.time()    
    
    img, th = bbc.img_binalizer(docname, p, True)
    
    #単位換算に必要な画像ファイルのdpiを与える
    xdpi = 300
    ydpi = 300
    
    bb = bbox(th, p, xdpi, ydpi)
    t=time.time()-s

    #上部マージンと画像縦サイズの比率を収めた配列
    margin_ratios[p-1] = bb[7]

    #コンソールへの出力
    print("page: " + str(p))
    print("shape: " + str(img.shape))
    # print(bb)
    print("ll:" + str((bb[0], bb[1])) + ", ur:" + str((bb[2], bb[3])))
    print("xshift: " + str(bb[4]) + ", yshift: " + str(bb[5]))
    print("tb margin ratio:" + str(bb[6]) + ", image top margin ratio:" + str(bb[7]) + ", side margin ratio:" + str(bb[8]) + ", left margin ratio:" + str(bb[9]) + "\n")
    print("time: " + str(t) + "\n")

    #logファイルの出力
    with open(str(logname) , mode = "a", encoding="utf-8") as lg:
        lg.write("page: " + str(p) + "\n")
        lg.write("shape: " + str(img.shape) + "\n")
        lg.write("ll:" + str((bb[0], bb[1])) + ", ur:" + str((bb[2], bb[3])) + "\n")
        lg.write("xshift: " + str(bb[4]) + ", yshift: " + str(bb[5]) + "\n")
        lg.write("tb margin ratio:" + str(bb[6]) + ", image top margin ratio:" + str(bb[7]) + "\n")
        lg.write("side margin ratio:" + str(bb[8]) + ", left margin ratio:" + str(bb[9]) + "\n")
        lg.write("time: " + str(t) + "\n\n")
    
  #LaTeXファイルに書き込む文字列(画像のBoundary Boxと原点の移動(offset))
    string = string + "\\includepdf[pages={{{0}}},scale={1},angle={2},noautoscale,bb={3}mm {4}mm {5}mm {6}mm,offset={7}mm {8}mm,frame]{{\\target}}\n".format(p, scale, angle, bb[0], bb[1], bb[2], bb[3], bb[4], bb[5])    

#スクリプト実行時間
fin_time = time.time() - init_time
print(fin_time)

#マージン比率の散布図を描画させる
x = list(np.arange(1,fin))
fig = plt.figure()
plt.xlabel("page number",fontsize=18)
plt.ylabel("top margin / vertical image size",fontsize=18)
plt.grid(True)
plt.scatter(x,margin_ratios)
fig.set_size_inches(15,10)
plt.show()

#jinjaで書き込むデータ
data = {
    "executecommand": "%#! pdflatex jinja_output.tex", #yatex用
    "firstpagenum": str(ini), 
    "paperwidth" : str(phorizontal), 
    "paperheight": str(pvertical), 
    "leftmargin": str(lmargin), 
    "rightmargin": str(rmargin), 
    "topmargin": str(tmargin), 
    "topmarginii": str(tmargin2), 
    "topmarginiii": str(tmargin3),
    "bottommargin": str(bmargin), 
    "centerposition": str(center), 
    "target": str(pdfpath),
    "main": str(string),
    }

document = template.render(data)
with open("jinja_output.tex", mode = "w", encoding="utf-8") as fd: 
    fd.write(document)
Jinja2のテンプレートファイルは、jinja_template.texという名前で次のような内容です。
\documentclass{article}

\usepackage[paperwidth=\VAR{paperwidth}mm,paperheight=\VAR{paperheight}mm]{geometry} 

\newif\ifesopic
\esopictrue
%\esopicfalse

\ifesopic
\usepackage[texcoord]{eso-pic} %各ページ前面にグリッドを描くのに利用.texcoordで左上が原点.
\fi

\usepackage{pdfpages} %\includepdfコマンドを利用

\ifesopic
\usepackage{tikz} %グリッドの描画に利用
\usetikzlibrary{calc,math}
\fi

\ifesopic
%eso-picで使う新しい長さのコマンドを設定
\newlength{\myleftmargin}
\newlength{\myrightmargin}
\newlength{\mytopmargin}
\newlength{\mytopmarginii}
\newlength{\mytopmarginiii}
\newlength{\mybottommargin}
\newlength{\mycenterposition}

%margins
\setlength{\myleftmargin}{\VAR{leftmargin}mm}
\setlength{\myrightmargin}{\VAR{rightmargin}mm}
\setlength{\mytopmargin}{\VAR{topmargin}mm}
\setlength{\mytopmarginii}{\VAR{topmarginii}mm}
\setlength{\mytopmarginiii}{\VAR{topmarginiii}mm}
\setlength{\mybottommargin}{\VAR{bottommargin}mm}
\setlength{\mycenterposition}{\VAR{centerposition}mm}

%グリッドと版面ガイドラインの描画
\AddToShipoutPictureFG{%
\begin{tikzpicture}[remember picture, overlay,
                   help lines/.append style={line width=0.1pt,
                                             color=blue!50},
                   minor divisions/.style={help lines,line width=0.2pt,
                                           color=red!50},
                   major divisions/.style={help lines,line width=0.3pt,
                                           color=red},
                   guide lines/.style={line width=0.5pt,color=blue},
]
 \draw[help lines] (current page.south west) grid[step=1mm]
                   (current page.north east);
 \draw[minor divisions] (current page.south west) grid[step=10mm]
                        (current page.north east);
 \draw[major divisions] (current page.south west) grid[step=50mm]
                        (current page.north east);

\draw[guide lines] ($(current page.north west) + (\myleftmargin,0)$)--($(current page.south west)+ (\myleftmargin,0)$); %left
\draw[guide lines] ($(current page.north east) - (\myrightmargin,0)$)--($(current page.south east)- (\myrightmargin,0)$); %right
\draw[guide lines] ($(current page.north west) - (0,\mytopmargin)$)--($(current page.north east)- (0,\mytopmargin)$); %top
\draw[guide lines] ($(current page.north west) - (0,\mytopmarginii)$)--($(current page.north east)- (0,\mytopmarginii)$); %top2
\draw[guide lines] ($(current page.north west) - (0,\mytopmarginiii)$)--($(current page.north east)- (0,\mytopmarginiii)$); %top3
\draw[guide lines] ($(current page.south west) + (0,\mybottommargin)$)--($(current page.south east)+ (0,\mybottommargin)$); %bottom
\draw[guide lines] ($(current page.north west) + (\mycenterposition,0)$)--($(current page.south west)+ (\mycenterposition,0)$); %center
\end{tikzpicture}%
}
\fi

\def\firstpagenum{\VAR{firstpagenum}} %開始ページの数字を入れる(pdfの一部を読み込むとき)
\setcounter{page}{\firstpagenum}
\usepackage[pdfstartpage=\firstpagenum]{hyperref}


\def\target{\VAR{target}} %読み込むpdfのパス

%yatex用
\VAR{executecommand}


\begin{document}

\VAR{main}

\end{document}


計算結果

このスクリプトの実行が終了すると、まず次の画像のような散布図を出力するようにしてあります。

縦軸は元にした画像の上部マージンと画像の縦の長さの比率です。

書籍の各章のはじめのページには上部にページ番号が無いものも多く、その分上部マージンの比率が大きくなっています。上の散布図での外れ値は、ほぼそのようなページを反映しています。この図を元に上部マージン切り替えの閾値を手で設定して、計算の切り替えをしています。

スクリプトを実行して得られるLaTeXファイル(の一部)は次の画像のようになります。
各ページごとに画像のBounding Box(bb)と原点位置の補正(offset)を計算しています。このLaTeXファイルをタイプセットすると次の画像が得られます。


書籍の物理的な紙面サイズは実測してスクリプト内に書き込んでおき、上下左右のマージン(青色の線)なども実測値を元に何度かスクリプトを実行して調整していきます。最後に画像の版面枠とグリッドを取り除いて次の画像のようなpdfファイルが得られます。



最後に

今は散布図を元にマージンを切り替える比率の値を手で設定しているのですが、これを自動化するなどしたいところです。

2021年10月22日金曜日

LaTeXの出力pdfにグリッドラインを引く(自炊pdfの画像位置調整)

普段購入した専門書をスキャンしてpdfファイルにし、ipadやPC画面で読むようにしています。書籍のスキャンにはAvisionのFB2280Eを利用しています(国内の代理店での価格は私が購入した海外の通販サイトの値段の3倍くらいになっているようです)。国内では同じくらいのスペックのブックスキャナーとしてPlustekのOpticBook 4800が手に入りやすく、私もこちらを所持していましたが故障のため買い替えました。FB2280は後発のためスキャン速度はOpticBook 4800より速いです。しかし付属のソフトがよろしくないことと、スキャン位置とボタン位置が離れていてスキャンし辛いなどの短所もあります。

本体付属ソフトは使いづらいため、スキャンソフトはNAPS2を利用しています。

また非破壊のスキャナーであるために、解体・裁断してスキャンするよりもページごとの位置ずれがかなり大きくなります。また、スキャンしたときに本の背に近い部分は光が届かず黒い帯がでます。

黒い帯部分の削除にはBrissというJava製のソフトを利用しています。GUI操作で偶数ページと奇数ページを分けて一度にcrop操作を行えるので便利です。

pdfをcropしてもreaderで表示される部分が変わるだけで、元の画像情報は残っています。表示されない部分を完全に消してしまうには、今の所AdobeのAcrobat PRO DCの「非表示情報を検索して削除」を利用する方法しか寡聞にして知りません。非表示情報の削除と傾き補正、OCR処理にはAcrobat DC Proを利用しています。

自炊したpdfの余白についてwebで検索すると、ipadなどで読むために余白を削りたい人が多いようです。私は適切に余白があるほうが圧迫感が無く読みやすいと感じるので,cropしたpdfをpdfTeXで処理して余白の追加をしていました。

最近はページごとの上下左右の振れが気になってきたので、余白の調整に試行錯誤しています。以下からが本題です。

TeX-LaTeX Stack Exchangeのこの記事を元に、eso-pic, pdfpages, tikzパッケージを利用してpdfファイルの全面にグリッドを表示させるようにしてみました。画像では画像位置の調整のためのガイドラインの表示も行っています。


これらの画像を表示するためのLaTeXソースファイルは以下の通りです。
\documentclass{article}

\usepackage[paperwidth=142mm,paperheight=210mm]{geometry} 

\newif\ifesopic
\esopictrue
%\esopicfalse

\ifesopic
\usepackage[texcoord]{eso-pic} %各ページ前面にグリッドを描くのに利用.texcoordで左上が原点.
\fi

\usepackage{pdfpages} %\includepdfコマンドを利用

\ifesopic
\usepackage{tikz} %グリッドの描画に利用
\usetikzlibrary{calc,math}
\fi

\ifesopic
%eso-picで使う新しい長さのコマンドを設定
\newlength{\myleftmargin}
\newlength{\myrightmargin}
\newlength{\mytopmargin}
\newlength{\mytopmarginii}
\newlength{\mytopmarginiii}
\newlength{\mybottommargin}
\newlength{\mycenterposition}

%margins
\setlength{\myleftmargin}{16mm}
\setlength{\myrightmargin}{16mm}
\setlength{\mytopmargin}{15mm}
\setlength{\mytopmarginii}{20.5mm}
\setlength{\mytopmarginiii}{36mm}
\setlength{\mybottommargin}{18mm}
\setlength{\mycenterposition}{71.00mm}

%グリッドと版面ガイドラインの描画
\AddToShipoutPictureFG{%
\begin{tikzpicture}[remember picture, overlay,
                   help lines/.append style={line width=0.1pt,
                                             color=blue!50},
                   minor divisions/.style={help lines,line width=0.2pt,
                                           color=red!50},
                   major divisions/.style={help lines,line width=0.3pt,
                                           color=red},
                   guide lines/.style={line width=0.5pt,color=blue},
]
 \draw[help lines] (current page.south west) grid[step=1mm]
                   (current page.north east);
 \draw[minor divisions] (current page.south west) grid[step=10mm]
                        (current page.north east);
 \draw[major divisions] (current page.south west) grid[step=50mm]
                        (current page.north east);

\draw[guide lines] ($(current page.north west) + (\myleftmargin,0)$)--($(current page.south west)+ (\myleftmargin,0)$); %left
\draw[guide lines] ($(current page.north east) - (\myrightmargin,0)$)--($(current page.south east)- (\myrightmargin,0)$); %right
\draw[guide lines] ($(current page.north west) - (0,\mytopmargin)$)--($(current page.north east)- (0,\mytopmargin)$); %top
\draw[guide lines] ($(current page.north west) - (0,\mytopmarginii)$)--($(current page.north east)- (0,\mytopmarginii)$); %top2
\draw[guide lines] ($(current page.north west) - (0,\mytopmarginiii)$)--($(current page.north east)- (0,\mytopmarginiii)$); %top3
\draw[guide lines] ($(current page.south west) + (0,\mybottommargin)$)--($(current page.south east)+ (0,\mybottommargin)$); %bottom
\draw[guide lines] ($(current page.north west) + (\mycenterposition,0)$)--($(current page.south west)+ (\mycenterposition,0)$); %center
\end{tikzpicture}%
}
\fi

\def\firstpagenum{1} %開始ページの数字を入れる(pdfの一部を読み込むとき)
\setcounter{page}{\firstpagenum}
\usepackage[pdfstartpage=\firstpagenum]{hyperref}

\def\target{images/hogehoge.pdf} %読み込むpdfのパス

\begin{document}
\includepdf[pages={32},scale=1.0,angle=0,noautoscale,bb=8.18mm 4.93mm 117.45mm 180.86mm,offset=-0.36mm 2.03mm,frame]{\target}
\includepdf[pages={33},scale=1.0,angle=0,noautoscale,bb=8.86mm 10.45mm 118.14mm 185.70mm,offset=0.36mm 2.37mm,frame]{\target}
\end{document}
グリッドの表示にはpdfTeXで2回処理が必要です。includepdfコマンドでpdfファイルを読み込むことができます。offsetの部分で読み込んだpdfの左下端点の座標を調整しています。

以前は1ページごとにこれらを調整していたのですが、流石に時間が掛かり過ぎるため、現在ではOpenCVを利用して画像の版面の枠を検出させて半分自動で位置調整をできるようにしました。それらについては後日記事にしたいと思います。

追記:2021/12/11:位置調整の記事を書きました。

2019年12月24日火曜日

yatex-modeでmozc-im使用時に,ドル記号入力で直接入力に切り替える.

emacsでyatex-modeを使っているときに,日本語入力中でもドル記号を入力すれば,直接入力に切り替わりドル記号が2つ入力されて欲しい人間です.

mozc.elを使っているときには,mozc-mode-mapを書き換えることで上記に対応していたのですが,mozc-imではキーマップが用意されていません.そこでキーイベントを拾う関数であるmozc-im-input-methodにアドバイスを定義することで上記を解決してみました.
(require 'mozc-im)
(setq default-input-method "japanese-mozc-im")

(defadvice mozc-im-input-method (around insert-dollars (event))
  (if (and (eq major-mode 'yatex-mode)
    (equal event ?$))
      (YaTeX-insert-dollar)
    ad-do-it))
(ad-activate 'mozc-im-input-method)
mozc.elでも,mozc-mode-mapを書き換える方法でなく,これと同様にmozc-handle-eventという関数にアドバイスを定義すれば同じ挙動を示します.


追記:defadviceは古いそうなので,advice-addを使用したものに書き換えてみました.
(require 'mozc-im)
(setq default-input-method "japanese-mozc-im")

(defun mozc-im-input-method--yatex-insert-dollars (orig-fun key)
  (if (and (eq major-mode 'yatex-mode)
    (equal key ?$))
      (YaTeX-insert-dollar)
    (funcall orig-fun key)))
(advice-add 'mozc-im-input-method :around #'mozc-im-input-method--yatex-insert-dollars)


追記:2020/03/13:キー入力の度に毎回メジャーモードの判定をするのもおかしいので,以下のように書き換えました.
(require 'mozc-im)
(setq default-input-method "japanese-mozc-im")

(defun mozc-im-input-method--yatex-insert-dollars (orig-fun key)
  (if (equal key ?$)
      (YaTeX-insert-dollar)
    (funcall orig-fun key)))

(add-hook 'yatex-mode-hook 
   '(lambda ()
      (advice-add 'mozc-im-input-method :around #'mozc-im-input-method--yatex-insert-dollars)))

2019年4月9日火曜日

mozc-tempを使ってみた。

ac-mozcの後継であるmozc-tempというものがあるということで使ってみました。
英字を直接入力して、変換したい文字列の直後でAlt-nを打鍵することで変換候補が表示されます。

少し利用してみたところ、yatex-modeでは直接入力でしか使わないような変換してほしくない記号も変換されて不便なので、以下のように変換候補の文字に関する正規表現を変更してみました。

;;mozc-temp 

;;(global-set-key (kbd "M-n") #'mozc-temp-convert-dwim)
(global-set-key (kbd "M-n") #'mozc-temp-convert)

;;mozc-tempの変換候補文字に関する正規表現を変更する
(add-hook 'yatex-mode-hook
   '(lambda ()
      (custom-set-variables '(mozc-temp-prefix-regexp
        (let ((convertibles "][,.:0-9A-Za-z-"))
          (format "\\(?:^\\|[^%s]\\)\\([%s]+\\)\\=" convertibles convertibles)))
       )))

使用していて気になる点は、

  • ひらがなやカタカナに変換するときにAlt-nの後でCtrl-H, Ctrl-Kを打鍵する必要があり、打鍵回数が増えるので、ひらがな・カタカナに直接変換するキー割り当てが欲しい。
  • mozc.elを使って入力をしているときには、変換候補が表示されているときに続けて文字を打ち込むと変換確定扱いになるのに対し、mozc-tempではEnterを押して決定しないと変換確定にならないので、やはり打鍵回数が増えて不便.
といったところでしょうか。後者がかなり気にかかるので使用頻度が減ってしまいましたが、日本語入力モードに切り替えるのを忘れて文字列を打ってしまった後に変換可能なのでその用途で使っています。

2018年4月26日木曜日

定理を再掲したときに定理番号も揃える(amsmathのtagと似た挙動の定理環境を作る).

LaTeXの話題です.amsmath.styで定義されているtagコマンドは,数式環境の式番号部分を自由な文字列で置き換えることができるようになっています.下に例を挙げます.

この画像を生成するLaTeXのコードは次のようになります.
\documentclass[a4paper,dvipdfmx,uplatex]{jsarticle}

\usepackage[dvipdfmx,bookmarks=true,bookmarksnumbered=true,%
,colorlinks=true,linkcolor=blue]{hyperref}%

\usepackage{showkeys}
\usepackage{amsmath}
\numberwithin{equation}{section}


\begin{document}

\section{amsmath.styに含まれるtagコマンドの挙動}

\begin{equation}
 \label{eq:euler}
e^{i\theta}=\cos\theta +i\sin\theta
\end{equation}

\eqref{eq:euler}


\section{amsmath.styに含まれるtagコマンドの挙動の検証}


\begin{equation}
  \label{eq:euler2}
  \tag{\ref{eq:euler}}
e^{i\theta}=\cos\theta +i\sin\theta
\end{equation}


\eqref{eq:euler2}

\end{document}
最初のequation環境にeq:eulerというlabelをつけ,第2のequation環境ではtagコマンドを使って数式番号部分に¥ref{eq:euler}と書くことで,実際に表示される式番号が第1のequation環境のものと同じになっています.この第2のequation環境にはeq:euler2というlabelを付けており,これを¥eqref{eq:euler2}と参照すると表示される番号は第1のequation環境のものであるにも関わらず,リンクをクリックすると第2のequation環境にジャンプします.

このような現象が起こるのは,上記のファイルをタイプセットして得られるauxファイルの記述を見てみるとわかります.以下はauxファイルのリンク作成に関係する部分を抜き出したものです.
\@writefile{toc}{\contentsline {section}{\numberline {1}amsmath.styに含まれるtagコマンドの挙動}{1}{section.1}}
\newlabel{eq:euler}{{1.1}{1}{amsmath.styに含まれるtagコマンドの挙動}{equation.1.1}{}}
\@writefile{toc}{\contentsline {section}{\numberline {2}amsmath.styに含まれるtagコマンドの挙動の検証}{1}{section.2}}
\newlabel{eq:euler2}{{{\ref  {eq:euler}}}{1}{amsmath.styに含まれるtagコマンドの挙動の検証}{equation.2.1}{}}
第1のequation環境のlabelから作成されたnewlabelには,最初の引数にlabel名が,第2の引数には数式番号が入力されています.第2のequation環境のlabelから作成されたnewlabelには,最初の引数にlabel名が入力されているのは同じですが,第2の引数に¥ref{eq:euler}という文字列が入力されていて,これが実行されることで第2のequation環境の数式番号部分が第1のものに置き換わるわけです.newlabelの2番めの引数部分は,labelコマンドを用いた時点での¥@currentlabelの値が入力されるので,これを変更することでrefコマンドを使った文字列を入力することができそうです.

以上のtagの性質は,例えば1つの文書内のある場所に数式を書いたものの,その場所とはかなり離れた部分で頻繁に参照する場合,もう一度同じ数式を書きたいが,数式番号は以前に記述したものと一致させたいとなったときに便利です.

同様に定理環境ついても1つの文書内のある場所で定理を証明し,遠く離れた場所でその定理を頻繁に参照するようなときに,定理を再掲するも定理番号は最初のものと一致させたいという場合があるのではないでしょうか.また定理番号は最初のものを使いますが,リンク先は再掲した定理の部分に飛ぶほうが文書を読みやすいと思います.そこで上記のtagコマンドと同じような挙動をする定理環境をでっち上げてみました.結果は次のようになりました.
showkeys.styを使ってlabel名や参照先を表示させています.hyperrefで使われるlabelを再定義するという力技を使っているため,定理番号を再利用している部分のlabel名はshowkeysでは表示できなくなってしまっています.ソースファイルは以下のようになりました.
\documentclass[a4paper,dvipdfmx,uplatex]{jsarticle}

\usepackage[dvipdfmx,bookmarks=true,bookmarksnumbered=true,%
bookmarkstype=toc,colorlinks=true,linkcolor=blue]{hyperref}%
\usepackage{nameref}

\usepackage{showkeys}
\usepackage{amsmath}
\numberwithin{equation}{section}
\usepackage{tcolorbox}
\usepackage{varwidth} 
\tcbuselibrary{breakable}
\tcbuselibrary{skins}
\tcbuselibrary{xparse} %内部でxparse.styを読み込むのでNewDocumentCommandなどが使える.

%定理環境の定理番号部分の背景色
\definecolor{tcbtitlebackcolor}{RGB}{52,48,39}


%%%定理環境の定義
\newcounter{theoi}
\newcounter{theoii}
\numberwithin{theoi}{section}% numberwithinはamsmathで定義されているので要amsmath.sty
\NewTColorBox{theobox}{o m o}{%oは省略可能な引数、mは必須の引数を表す。
%dは省略可能な引数でで囲まれた部分を引数とする.
%#1=タイトル(省略可), #2=定理環境名, #3=定理番号部分を再利用したいときに\refコマンドを入れる.
enhanced,
coltitle=white,fonttitle=\bfseries\sffamily,
colbacktitle=tcbtitlebackcolor,
colback=white,
extras broken={%
colback=white,
frame empty,
},
breakable=true,
borderline={0.5mm}{0mm}{tcbtitlebackcolor},
leftrule=0pt,rightrule=0pt,
sharp corners=all,
boxsep=1mm,
before skip=3mm,
attach boxed title to top left={yshift*=-\tcboxedtitleheight-2.5mm},
boxed title style={sharp corners=all,toprule=0pt,bottomrule=0pt,leftrule=0pt,rightrule=0pt,
},
IfValueTF={#3}{%3つ目のオプション引数がある場合はタイトルの番号部分を書き換える。
IfNoValueTF={#1}{title={#2~#3.}}{title={#2~#3\,:~{#1}}}%
}%
{%
IfNoValueTF={#1}{title={#2~\thetheoi.}}{title={#2~\thetheoi\,:~{#1}}}%
},%
pad after break=-4.1mm, %breakした後の空きの調整
}

%% nameref.styのlabelコマンドの\@currentlabel部分を再利用するラベルで書き換えたものを
%% \my@labelというコマンドで定義する.
\makeatletter
\newcommand{\my@reuselabel}[1]{
\def\my@label##1{%
  \@bsphack
  \begingroup
    \def\label@name{##1}%
    \label@hook
    \protected@write\@auxout{}{%
      \string\newlabel{##1}{%
      % {\@currentlabel}%
        {#1}% \@currentlabelの部分に再利用するラベルを入れる
        {\thepage}%
        {\@currentlabelname}%
        {\@currentHref}{}%
      }%
    }%
  \endgroup
  \@esphack
}%
\ifNR@showkeys% showkeys.styを読み込んだときの対策
  \def\my@label##1{%
    \@bsphack
    \SK@\SK@@label{##1}%
    \begingroup
      \def\label@name{##1}%
      \label@hook
      \protected@write\@auxout{}{%
        \string\newlabel{##1}{%
 % {\@currentlabel}%
          {#1}% \@currentlabelの部分に再利用するラベルを入れる
          {\thepage}%
          {\@currentlabelname}%
          {\@currentHref}{}%
        }%
      }%
    \endgroup
    \@esphack
  }%
\fi
}

\NewDocumentEnvironment{theorem}{o m d<>}{%NewDocumentEnvironmentはxparse.styで定義されている。
 \IfValueTF{#3}{%
\let\my@@label=\label% \my@@labelに\labelをコピー
\my@reuselabel{#3}% 再利用するlabel名
\let\label=\my@label% labelコマンドを再定義
\my@reuselabel{#3}
\refstepcounter{theoii}
}{\refstepcounter{theoi}}
\begin{theobox}[#1]{#2}[#3]}{\end{theobox}
\IfValueT{#3}{\let\label=\my@@label}% labelコマンドを元に戻す。
}
\makeatother

\NewDocumentEnvironment{theo}{o d<>}{% 再利用するラベルは<>の中に入れる。
\begin{theorem}[#1]{定理}<#2>
}{\end{theorem}}

\NewDocumentEnvironment{prop}{o d<>}
{\begin{theorem}[#1]{命題}<#2>%
}{\end{theorem}}

\NewDocumentEnvironment{lem}{o d<>}
{\begin{theorem}[#1]{補題}<#2>%
}{\end{theorem}}


\NewDocumentEnvironment{coro}{o d<>}
{\begin{theorem}[#1]{系}<#2>%
}{\end{theorem}}




\begin{document}

\section{定理環境の再利用}

\begin{theo}[主定理]
\label{theo}
定理1~\fbox{\texttt{theo}}
\end{theo}

\begin{prop}
\label{prop:1}
命題1
\end{prop}

\begin{lem}
補題1
\end{lem}


\begin{theo}[主定理コピー]<\ref{theo}>
\label{theo:2}
定理2~\fbox{\texttt{theo:2}}
\end{theo}

\begin{coro}[主定理の系]
\label{coro:1}
系1
\end{coro}

定理~\ref{theo}

定理~\ref{theo:2}, 

命題~\ref{prop:1}, 

系~\ref{coro:1}


\pagebreak

\section{定理環境の再利用2}

\begin{prop}
\label{prop:2}
 命題2
\end{prop}

\begin{theo}[主定理コピー]<\ref{theo}>
\label{theo:3}

定理3~\fbox{\texttt{theo:3}}
\end{theo} 

\begin{theo}[主定理コピー]<\ref{theo:2}>
\label{theo:4}

定理4~\fbox{\texttt{theo:4}}
\end{theo} 

命題~\ref{prop:2}

定理~\ref{theo}, 

定理~\ref{theo:2}, 

定理~\ref{theo:3}, 

定理~\ref{theo:4}, 

\end{document}
上のソースファイルでは,hyperref.styのlabelコマンドの定義が書かれているnameref.styの該当部分をそのままコピーし,¥@currentlabel部分をrefコマンドで無理矢理書き換えるという操作を行っています.これで目的の挙動をする定理環境ができたのですが,考えてみればあまり使わないかもしれません.

2017年12月24日日曜日

bxjsclsの不具合?

bxjsbook.clsで数学の勉強ノートを取っているのですが,目次に表示されるページ番号が左揃いで3桁までを想定しているらしく,ページ数が1000を超えると一桁はみ出て見た目が残念なことになります.

どうにかならないものか.

追記:2019/03/01:TeX QAの
ページ数が1000ページを越えた目次について」で解決策が提示されています.