import.styを使うと,サブディレクトリ以外の他ディレクトリのファイルも読み込むことが可能なようです.しかし私が試した限りでは,警告やエラーが出ないものの,期待したファイルを読み込んでいない結果が得られました.またimport.styを使うと,YaTeX側で認識をしてくれないという問題があります(個人的にはこれが一番の問題).
仮に共有したい微積分のノートが「$HOME/notes/calculus」に置いてあるとします.
- \inputコマンドを使うのであれば,これは相対パスを理解してくれるようなので,\input{../calculus/integral}といった記述をしても問題なくタイプセットを行うことが可能です.
しかし\includeコマンドを使おうと思うと,相対パス表記はLaTeX側で解釈してもらえないようで,エラーが出てしまいます.大規模の文章を扱うときには,\includeonlyコマンドを使って分割タイプセットを行いたいので,\inputしか使えないのは不満が残ります.
- 別の解決策として1つのPC(OS)しか使わないのであれば,共通させたい文書を入れるフォルダを作って,その他の各文書のフォルダにはシンボリックリンクを貼っておけば良さそうです.
現在はMacやLinuxの環境では
- ~/.bashrcなどに変数TEXINPUTSを
export TEXINPUTS=$HOME/notes/calculus:$TEXINPUTS
と記述してTeX側から共有したいファイルの場所が見えるようにする.
YaTeXでincludeonlyの自動補完機能を使うとフルパスを記述されてしまうので,その点がなんとかならないかなとは思いますが,大分やりたいことに近づいたと思います.
2014/06/28:追記: TEXINPUTSを書き換える方法では,上記のように書き換えた場合,$HOME/notes/calculus内にauxファイルがあると,mainファイルに作成されたauxファイルよりもそちらを先に読みにいってしまうため,目次や式番号などが正しく作成されません.共有する文書を入れたディレクトリ内からはauxファイルを削除しておくようにしましょう.
他にも色々な解決法があるようです.
- including tex files
- How to edit the environment variable TEXINPUTS in winedt for adding different search paths ?
- Path to External Files in Nested \input
- LaTeX/Modular Documents
\let\include=\inputとするものや,texmf.cnfの中のopenout_any, openin_anyという変数をa (any)にするものもありました.後者はカレントディレクトリの上位ディレクトリの読み書きを許すことになるので,セキュリティー上よろしくないようです.野良TeXファイルをタイプセットしないのであればこれでよいのかも.