2012年4月23日月曜日

Asymptoteでレムニスケートを描く

レムニスケートは$(x^2 +y^2)^2 =a^2 (x^2 -y^2)$で定義される曲線($(\pm a, 0)$は$x$軸との交点を表す)です。例えば$a=1$として$(x^2+y^2)^2=x^2- y^2$を媒介変数表示すると
\[
x(t)=\frac{t(t^2+1)}{t^4+1},\qquad y(t)=-\frac{t(t^2-1)}{t^4+1}
\]
と表せることが知られていますが、媒介変数表示でレムニスケートのグラフを描こうとすると$t$は実数全体を動かす必要があるのでどのように描いたらよいのかわかりませんでした。

Asymptoteで用意されているcontourモジュールを使えば、$x, y$について陽に解かれていない陰関数$f(x, y)=0$の形のグラフを描くことが出来ます。

size(500,0);
import contour;

real a=1; //レムニスケートのx軸との交点座標
real[] c={0};
real f(real x,real y){return (x^2+y^2)^2-(a^2)*(x^2-y^2);};
draw(contour(f,(-1,-1),(1,1),c));
ここでは$f(x, y)=(x^2+y^2)^2 -a^2(x^2-y^2)$とし、$f(x, y)=0$のグラフを描かせています。

 contourでは2変数関数$f(x, y)$と$x$-$y$平面の矩形を指定するための2点(ここでは$(-1,-1)$, $(1,1)$を指定しているので$(x,y)$は$\{(x, y)\in \mathbb{R}^2 \,|\, -1\leq x\leq 1,\quad -1\leq y\leq 1\}$で表される矩形上を動く)、それに実数値の配列を指定する必要があります。配列を指定することで、等高線を描くことが出来るようになっています。

$x$-$y$平面上の曲線が媒介変数表示で$\ell(t)=(x(t),y(t))$の形で表されるならば、曲面$z=g(x, y)$上の曲線で$x$-$y$平面上に射影した像が$\ell(t)$になるものが$\varphi(t)=(x(t),y(t),g(x(t),y(t))$のように簡単に定義出来ます。

しかし$f(x, y)=0$を満たす曲線$\ell$に対して、曲面$z=g(x, y)$上にのっている曲線で$x$-$y$平面に射影すると$\ell$になるようなものの描き方がよくわかりません。

contourやcontour3モジュールでは解決出来なさそうに思えるので、別の方法を考える必要がありそうです。

何故こんなことをしたいかというと、次のような図を完成させたいからです。

この図では曲面上に媒介変数表示のレムニスケートを描いています。ぱっと見はうまくいっているように見えますが、視点を変更して上から見ると、曲線が始点に戻る前に途切れていることがわかります。

これでも十分なように思えますが、曲線の定義域やノードの数を非常に多くしないと形が崩れてしまい、コンパイルにも時間がかかるので、定義式のimplicitな形から描かせたいと思案しています。